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浦安市―住基ネットについて

浦安市―住基ネットについて

8月5日から「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」が稼働しました。

ここで改めて問題点を整理して、私の見解を明らかにしておきたいと思います。
住基ネットに関するこれまでの論点は、次の5つに要約されるのではないでしょうか。

1.なぜ、住基ネットなのか?
2.情報の保護について
3.住基ネットを取り巻く環境整備(個人保護法未成立)について
4.離脱あるいは選択制について
5.システム的な問題点は?
まず、1.「なぜ、住基ネットなのか?」についてですが、「住民基本台帳」は、法律に基づいた「住民に関する事務(例えば選挙や、転入転出など)の基礎であり、住民に関する記録を正確に適正に管理する制度」です。

この「住民基本台帳」の管理は市町村に義務づけられているもので、平成11年の国会で法律が改正され、「住民票コード」が加えられて次の14項目になりました。

1)氏名
2)生年月日
3)性別
4)世帯主並びに続柄
5)本籍
6)住民になった年月日
7)住所
8)住所変更に関する年月日
9)選挙人名簿
10)国民健康保険および介護保険の被保険者
11)国民年金の被保険者および児童手当の受給者
12)米穀受給者
13)住民票コード
14)そのほか、政令で定める事項

これらの項目の内、1)氏名、2)生年月日、3)性別、7)住所の4つの情報を基に全国共通の番号を付けて、ネットワークで結び、さまざまな事務を簡素化させ、国民生活に利便をもたらそうとするものです。

現在、予想をはるかに上回る高度情報化技術の進展の基で、私たちの生活はさまざまな課題を抱えつつ、電子化が進んでいくのは確実です。

国も2年前の沖縄サミットでIT先進国への決意を示しましたし、全国の地方自治体でもITを活用した市民サービスの向上と、市政への市民参加を目指して電子自治体を推進しています。

以上述べたことを基礎に平成11年の法改正から、全国の都道府県と市区町村で3年間かけてシステムの整備をしてきました。

住基ネットの稼働にあたり、メリットやデメリットについて、いろいろいわれていますが、行政へのさまざまな申請事務について、今まで必要だった住民票の写しの添付が不要になるなど、電子申請の基盤になり、住民サービスの向上や行政事務の効率化など一定のメリットはあるものと考えます。
2.「情報の保護」については、まず技術面からの安全対策として、

(1)住基ネットは、インターネットとは違い、ネットワークに安全性の高い専用回線を使用しています。また、データは暗号化して送り、盗聴や改ざんを防いでいます。

(2)市と県のシステムの接続には、ファイアーウォール(防護壁)を設置して不正侵入を防いでいます。

(3)システム操作者の確認のため、操作者用ICカードやパスワードによる厳重管理を行います。

(4)システム操作の記録、データ通信の記録の管理、そして操作者の履歴の管理を行います。

次に、制度面からの安全対策ですが、

(1)住基ネット上で保有する情報は、あくまでも「本人確認のための4つの情報」と「住民票コード」、そして「これらの変更情報」に厳しく限定されています。

(2)民間企業が住民票コードを聞き出したり、利用することは法律で禁じられています。

(3)個人情報の漏えいについては、システムに従事する自治体職員に秘密保持義務を課し、通常よりも重い2年以下の懲役など、罰則を特別に強化しています。
また、市の職員にはセキュリティ対策の重要性について十分な研修を行い、守秘義務の徹底とともに、懲戒免職処分など厳罰をもって対処する旨を周知徹底していきます。
これらのさまざまな対策により、懸念される不正アクセスはきわめて困難であると考えています。
3.「住基ネットを取り巻く環境整備(個人情報保護法の未成立)について」は議論の多いところですが、3年前の法律改正の際、附則の第1条の2で「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置を講ずるものとする。」とされていますし、当時の小渕首相は「実施にあたっては、個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提。」と国会で答弁しています。

これらのことから、小泉首相や片山総務大臣の釈明は、国民を十分納得させられるものではなく、説明責任を果たしていないと考えます。

また、国会も十分その責務を果たしているとは思えません。

私は以上のことから、先の通常国会が閉会し、個人保護法の継続審議が確実になり、住基ネットが稼働する3日前の8月2日、小泉首相と片山総務大臣、さらに綿貫衆議院議長あてに、緊急要望として、各々その責務を果たし、国民の不安を払拭するよう強く要望したところです。
また、少数ですが、4.「住基ネットからの離脱や、個人の選択制について」の賛成意見が、市民からも寄せられています。

住基法が改正されたときに、附則で明記された個人情報保護法が未成立のままですが、今年の8月5日から住基ネットが稼働することについては、法律と政令で確定しているものです。

市長である私も、市民である皆さんもともに、法令で確定されていることを破ることは許されないと思っています。また、住基法の改正では、住基ネットへの参加や、住民票コードの記載が義務づけられていて、住基ネットへの不参加や、個人の選択に任せることは明らかな法律違反です。

また、これらを認めることは、市長としての責務を放棄することであり、義務違反と考えます。

日本は、法治国家であり、日本国憲法を最高法規として、正当に選挙された国民の代表による国会で、正当な手続きによって決まった法の下で、民主的に運営されています。

その法を守り、運用することによって、私は、「社会の秩序」が保たれるものと思っています。

「法の不備」は、正当な手続きによって正すべきもので、それが民主主義だと考えます。
次に、5.「システムについて」ですが、今回、さまざまな議論を呼んだ「住基ネット」ですが、私は情報革命のなかでの関連事業は、試行錯誤を重ねながら進むものだと思っています。

しかし私は、住基ネットは、市町村の責任で行われてきた住民基本台帳の整備を総務大臣が指定する「指定情報処理機関」で一括管理することで、市町村の管理から離れてしまうことに、大きな疑問と安全保障上の不安を持っています。

今、「第3の波」の情報革命の真っただ中といわれています。「第2の波」といわれた産業革命が、「一括管理」に代表される大量生産・消費を特徴とするなら、情報革命は、すべての分野で大量化から「非マス化・分散化」に変わるものとされています。とするなら、住基ネットによる全国民の住民基本台帳の一元化は時代に逆行しているのではないでしょうか。

私は、あくまでも住民基本台帳は今までのように市町村が責任をもって管理し、本人確認の情報の提供はITを駆使して、「指定情報処理機関」や県のサーバーを経由して行うべきではないかと考えています。
以上、私の住基ネットに関する見解を述べましたが、運用にあたっては、最大限の注意を図りつつ、また万が一にも重大なトラブルや、システム障害、あるいは不正アクセスなどが発生した場合、市民の情報保護のため、住基ネットへの接続の一時停止を含む緊急対応をとらざるを得ないと考えています。

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやす2002年9月1日号に掲載)

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