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二十一世紀まで残すところ九カ月となりました。

世界が戦争と動乱に明け暮れた二十世紀は、まさに混沌(カオス)の世紀だったと思います。

これに対比して、つい新世紀を希望の世紀として安易に想像してしまいますが、敗戦以来五十五年続いた日本の平和も、長い歴史から見るとほんの一瞬にしか過ぎません。

悲惨な戦争と敗戦に懲りた先輩達の苦労と努力によって、私たちは平和の恩恵に浴してきました。

二十一世紀へのカウントダウンが始まった今、凶悪犯罪の低年齢化や、以前は考えられなかった特異な事件が多発していますが、私は、市政あるいは地域の中で出来る限り、戦争や暴力の芽を摘んでいかなければならないと考えています。

以前、『文字から離れていく民族・国家は暴力化する』という歴史の教訓を教わりました。

県内のある女子高校が十数年前から、毎朝授業前の十分間を読書にあてているという事が報道されました。その後、私も調べましたが、勉強の面でも、精神的な面でも、たったこれだけの事で大変な成果と効果が上がっていることを知りました。

市内でも最近、朝のホームルームの前に読書をする学校がありますが、その成果が楽しみです。

先日、「本が死ぬところ暴力が生まれる」という題名の本を読みました。

その中で私たちにとってはあたりまえの「文字」を持つ民族は世界全体からするとごく少数であることを知り驚きました。

国連の調査では、世界中で話されている約三千の言語のうち、文字を持っているのは七十八言語しかなく、この中でたった五つか六つの言語だけが国際的に通用するとのことです。

また、「読み書き」の出来る人は、世界中の十五歳以上の人口の約七十七%で、世界中でまだ約九億人の非識字者がいるようです。

まさに秒進分歩の急激な技術革命の中で、現実なのか仮想なのか、錯覚させるほどリアルなゲームやソフトの開発の陰で、文字を通して客観的に自分と向き合う機会が、技術進歩と反比例して失われています。

市には幸い、日本一の貸し出し冊数を誇る中央図書館があり、多くの市民の皆様に利用されていますが、浦安市の子供たちが、読書への関心を高めるためにも、読書の習慣づけを教育の現場で積極的に推進していきたいと思っています。

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやすNo.665 2000年4月1日号に掲載)

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