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危機管理

大阪府池田市の小学生殺傷事件から早いもので2カ月がたとうとしています。

可愛い盛りの1・2年生が8名も殺された事件の報に接したとき、やり場のない怒りがこみ上げてくるのを押さえられませんでした。

何故、守れなかったのか、また、守りきれなかった先生たちの無念さはいかばかりか、さまざまな思いが駆けめぐりました。

本来、安全であり、安心であるから親も心穏やかに子どもたちを送り出してくれるはずの小学校での事件に、あり得ないことが現実に起こってしまった戸惑いと動揺は、浦安市の保護者にとってもかなりなものでした。

緊急集会を催す父母たちや、地域によっては、補導員らと連携をとって巡回パトロールを自主的に始めています。

まさに「学校が聖域」でなくなった今回の事件を機に、改めて本市の子どもたちを取り巻く危機管理を考えてみました。

私は、浦安の子どもたちの安全は何としてでも守ると決意して、庁内で検討し、教育長との協議や、浦安警察署長とも話し合いを行いました。

その結果、まず登下校の時以外は門を閉めて来訪者を必ずチェック出来るようにします。

次に、小学校の低学年や保育園や幼稚園の先生に、万一の際に異常を知らせる「防犯ブザー」を配布します。

さらに、異常事態を周囲に知らせると同時に、暴漢を大きな音で怯ませる効果を期待して、「非常ベル」を1施設で10カ所程度設置し、かつ、警察の110番にも直接異常を知らせるようにする予定です。

しかし、池田市の小学校の事件のように刃物を振り回す暴漢に対して、警察官が駆けつけるまでの5分から10分間をどうするかとなると、現場の先生方に何とかして時間を稼いでもらうしかないのが現実です。

時代劇でみる「刺股」も検討しましたが、実際に刃物を振り回す暴漢に対峙して渡り合うことが出来るのか疑問が残り、より効果的ということで唐辛子を主成分とする催涙スプレーが仕込んである「催涙警棒」の配備を検討しています。この「催涙警棒」は4~7メートル以上離れたところから噴射が可能です。

「教育の現場に「武器」を持ち込むのか」と言った非難や、「先生に暴漢に立ち向かえという指示を誰が出すのか」といった批判も聞きますが、「聖域」でなくなった教育の現場は、「教え育てる場」である前に、子どもたちが「守られる場」でなければならないと思います。

危機管理の基本は「最悪を想定して、最善の対策を練る」ことにあります。

配備したらどうなる、しなかったらどうなるといった検討と、より効果的な「危機管理」の議論を重ね、9月からの元気な子どもたちの登校に備えたいと考えています。

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやすNo.697 2001年8月1日号に掲載)

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