D滑走路の供用開始 記録的な猛暑に苦しんだ今年の夏がうそのように、急な冷え込みで例年になく色鮮やかな紅葉に彩られた市内の木々に、秋を堪能させてもらいましたが、今年も残すところ1カ月となり、何かと慌ただしい年の瀬を迎えました。 市長選挙の真っただ中の10月21日、羽田空港のD滑走路が供用開始されました。 このD滑走路が「南風の悪天時の着陸」という特定の条件下で使用された場合に、着陸機が最も浦安市に近いルートで飛行します。 なお、「南風の悪天時」についてですが、「南風」は浦安市の場合は主に夏場に海から陸に向かって吹く風と思ってください。 また、「悪天」については、国からの詳しい説明がなく、私も交渉当時からしばらく「悪天候」と誤解していましたが、上空がガスや霧などで覆われてパイロットが羽田空港を目視できない状態を指し、地上での悪天候を指すものではないということです。 羽田空港再拡張問題は、閣議決定されたあとに新聞報道で私たちが知るといった、まさに地元軽視からスタートしましたが、市では、「D滑走路問題」を突如として降ってわいた「浦安市の騒音問題」としてとらえて現在に至っています。 問題発生以来、市ではこれまで、国や県に情報の開示とともに、良好な環境を守るために浦安市の上空を飛行することのないようさまざまな申し入れを行ってきました。 これまでの交渉経過を簡単に振り返りますと、平行滑走路として計画していたD滑走路を浦安市の上空から7.5度、ILSと呼ばれる電波に乗って着陸する方式で2度、合わせて9.5度海側に角度を変えることで、当初の最悪な事態を回避することができました。 さらに、今年の2月には懸案課題であった深夜早朝時間帯(午後11時から翌朝の6時まで)については、習志野方向から直線で日の出地先180メートル沖をまっすぐD滑走路に向かうのではなく、木更津沖から進入して東京湾の海上で旋回し、高洲沖1キロメートルまで離すという修正案により、心配されていた深夜早朝時間帯の騒音被害への懸念を最大限回避することができ、ほっとしたところです。 供用開始が直接、浦安市に影響をもたらすのは、基本的には来年の夏ころからと聞いていましたが、すでに、羽田空港の国際化と24時間化による離陸機の想定外の騒音の影響が出始めていて、昼夜を問わず市民からの苦情が増えています。 もともと国は、羽田空港のハブ化・国際化が無理ということで成田空港整備に着手したはずですが、羽田空港の整備状況を見ていると、国内線は羽田空港、国際線は成田空港といういわゆる「内際分離」の原則を放棄したと思わざるを得ません。 国直轄の羽田空港に対して、成田空港の株式会社化がそれを証明しているものと思われます。 異常な警備体制が続く成田空港の現状を見るとやむを得ないとは思いますが、情報開示が後手後手になり、取り返しがつかなくなってしまった成田空港の教訓を無駄にすることなく、国と県に対し事前の情報開示と先手先手の対策をこれからも強く求めていくとともに、11月16日の千葉県知事と市町村長との意見交換会の席でも森田知事に、国への監視強化を申し入れたところです。
浦安市長 松崎秀樹 |