日本の人口減少 6月26日、浦安商工会議所で、衆議院議員の野田聖子氏を講師に招いて記念講演会が開かれました。 昨年50歳で念願の第1子を出産され話題を呼んだ女性代議士の、100年先を見据えた国会議員らしい内容の濃い講演で、日本が直面している人口問題を国家的危機と捉えて女性と母親の目線から熱く訴えました。 国土審議会政策部の「国土の長期展望」の中間報告が昨年2月に発表されましたが、その中に日本の人口減少についての驚くべき記載があります。 日本の人口は、8年前の平成16年12月の1億2784万人をピークに減少の一途をたどり、歯止めがかかる兆しは一向に見えてきません。 このまま行けば、38年後の2050年は1億人を切り9515万人に、さらに2100年には中位予測で4771万人、高位予測でもピーク時の半分の6407万人、低位予測ではなんと3770万人と、明治維新当時の3330万人に近づく最悪の予測となっています。 日本の人口減少問題は、ただ単に人口が減っていくだけではなく、次代を担うこどもの減少、未婚の男女の増大、男女ともに結婚時の高齢化、高齢出産の増大、さらに人類史上未曽有の超高齢社会の加速など、さまざまな深刻な問題を内包しています。 ちなみに2100年の低位予測の高齢化率は、何と40.6%です。 数年前、私は高福祉の国スウェーデンの国のあり方と福祉の実態を2年にわたり視察しましたが、スウェーデンが国として高福祉に大きく舵を取ってきたのには、現実的な理由があり、それを解決するために福祉を推進せざるを得なかったのだと知りました。 それは、第1次・第2次世界大戦で荒廃したヨーロッパの復興に、中立で戦火を免れた北欧の国として協力するにあたり、これを国力とともに経済を発展させる好機と捉えて、それまで家庭に縛られていた女性も働く担い手とするために、こどもの保育の充実とともに、高齢者の福祉の充実を図り、女性の社会進出の道を開いたとのことです。 これこそまさに私たち日本の抱える深刻な人口減少がもたらす国力の低下に対する国としての政策転換の大きなヒントではないでしょうか。 国会でも、税と社会保障の一体改革のなかで、幼稚園・保育園の一体化や保育園待機児童の解消など、子育て支援策が議論されていますが、目指すところ女性の社会進出による労働力の拡大にほかなりません。 今、この問題に国を挙げて全力で取り組まなければ、国力の衰退に拍車がかかるのは自明の事ではないかと、改めて思い知らされた講演でした。
浦安市長 松崎秀樹 |