異常気象と“高潮” 7月22日、関東地方の梅雨明け宣言があり、ホッとしたのもつかの間、今年も連日の猛暑・酷暑に喘ぐ日々が続いています。 19日の土曜日、新町地域で初めての試みの“海辺 DE 盆踊り”が明海地区の総合公園の広場で開かれました。午後4時からこども向けのイベントで、大いに盛り上がったようですが、盆踊り大会は残念ながら、開始直前に大粒の雨が降り出してしまい、中止のやむなきに至りました。 どんなイベントでも、天候が大きく成功を左右します。ここ数年の異常気象を見ていると、かつては四季の豊かな温帯気候とはっきり分かりましたが、連日の猛暑やスコールを思わせる集中豪雨など、今や日本列島は“亜熱帯気候”へと大きく気候変動したと思われるような気がしてなりません。 それを裏付けるように、数年前に館山市長に誘われて館山湾の“水中花火”を見に行ったとき、鏡湾とも呼ばれる湾に、沖縄によく見られる“グラスボート”があり、「湾内の珊瑚や熱帯魚を観光客に見てもらうためにある」との説明がありました。30年以上前にダイビングを趣味としていた私は、その当時、温暖化で真鶴半島まで熱帯魚が北上してきた事が話題になっていましたが、ついに房総半島の南端まできたのかと、感慨深く思うと共に、地球温暖化の危機を痛切に感じたことを思い出しました。 東日本大震災から3年5ヶ月が経とうとしていますが、市民の中にはあの未曾有の被害をもたらした大津波をこれでもかとテレビの映像で見せられた結果なのか、同じような津波が浦安にも来るのではないかと心配される方が、想像以上に多いことに頭を痛めています。 東京湾の最奥部に位置する浦安市は、東京湾の形状から、房総半島の突端と三浦半島の先端を結ぶ、いわゆる湾口に10mの津波が押し寄せても、浦安市の護岸にたどり着くときには、約1.6mにまで減衰されると、歴史的にもさまざまな実証実験でも示されています。 過去の事例からも、本市にとって怖いのは津波ではなく“高潮”で、65年前の激甚災害もキティ台風による高潮によるものでした。 津波と高潮は似て非なるもので、地震や火山の噴火によって起きるのが“津波”で、片や台風などの低気圧により海面が押し上げられるなどの気象の変化で起きるのが“高潮”で、起きる原因で明確に分かれます。 『海面は、気圧が1hPa(ヘクトパスカル)下がると、1cm上昇します。なお、海抜0mでの1気圧は約1,013hPaです。』 日本での観測史上最大の高潮は昭和34年(1959年)の伊勢湾台風で、名古屋湾で3.45mを記録し、潮位を足すと3.89mとされています。 本市を始め、福島以南の海岸護岸は高潮から守るようになっており、本市の日の出から高洲までの護岸の天端の高さは海抜6m、舞浜の護岸においては7.1mとなっており、過去最大の伊勢湾台風級以上の高潮にも耐えられるようになっています。 東日本大震災の未曾有の被害で、津波の恐ろしさだけが強調されていますが、伊勢湾台風では5千人を越す死者が出ています。 台風では低気圧で海面が押し上げられるだけでなく、 “向岸風”と呼ばれる強風による吹き寄せも加わるとより猛威が増し、被害を拡大させます。 台風とは比較にならないハリケーンやサイクロンによる過去最大の高潮は、ベンガル湾で7〜9mが記録されています。 今、台風シーズンを迎えて、異常気象で“爆弾低気圧”のような想定外の事態も視野に入れ、高潮対策に手抜かりがないか、改めて再点検をしているところです。
浦安市長 松崎秀樹 |