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浦、安かれ

今、浦安市では二〇二〇年を目標とする「基本構想」を作っています。

これは、これからの浦安市がどの方向で何を目指していくのかを指し示すものです。

今までは基本構想の基本目標「緑あふれる海浜都市」のもとで浦安市のまちづくりが行われてきました。

昨年の五月の広報号外に新しい「基本構想」のたたき台とも言える「素案」が発表された折に、新しい市のスローガンが発表されました。『人が輝き躍動するまち・浦安』というものです。

私の就任前に作られたスローガンですが、まさにこれからの浦安の指針にふさわしいと私は気に入っています。

これからの浦安市を語る前に、「浦安」の発祥に思いを巡らせるのも意義のあることと考えます。

今から百十年前の明治二十二年、当時の当代島村・猫実村・堀江村の三村が合併して、新しく「浦安村」が誕生しました。

この「浦安」には、「浦、安かれ」という願いが込められています。

「浦(うら)」というのは本来、やまと言葉で海辺、水際を指し、漁場の安泰を祈るとともに、水害で大きな被害を受け続けてきた先人達の痛いほどの願いが、この「浦、安かれ」に感じられます。

また、「うら」は「裏」にも通じ、目に見える「表」に対して、目に見えない裏側、すなわち「心」を意味して「うら(心)安かれ」と、やはり平安を祈る思いが込められているとのことです。

この「浦安」に込められた「平安・安泰」の祈り・願いこそ、浦安のすべての始まりでもあるのではないでしょうか。

辞書には「浦安」とは、「日本」の古称あるいは美称とも載っていて、海洋国家・日本と、海浜都市・浦安がオーバーラップするのもおもしろいものです。

二〇二〇年の浦安市では、今の乳幼児も青年になり、四・五〇歳代の働き盛りの市民も老年期に入るなど、今までの二〇年間のような急激な変化の時間の流れになるのか、あるいは緩やかな変化になるのか、時代の潮流を見極めつつ、市民の「平安・安泰」とともに着実な「発展・成長」も視野に入れながら新しい「基本構想」をできるだけ早期に策定していきたいと思っています。

この「基本構想」は、策定が地方自治法で義務づけられているもので、今後、市民参加の審議会、並びに市議会で十分議論・審議し確定した後に、広報うらやす等で周知していきたいと思います。

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやすNo.649 1999年8月1日号に掲載)

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