復興と震災モニュメント 未曽有の震災から早いもので1年9カ月がたちました。 現在開会中の12月議会における上程議案の内、8議案が下水道復旧工事、市道幹線道路復旧工事と併せて新浦安駅前広場、舞浜駅前広場の復旧・復興工事にかかわるものです。 議会最終日の採決で議決されますと、年末年始を挟んで来年の1月下旬から、市による本格的な復旧・復興工事が3年かけて行われることになります。 本市の復旧・復興事業費は、国による災害査定が昨年の11月に終わり、そのあと今年5月の復興交付金の決定を受けて、被災前に戻す復旧事業に302億円、液状化対策を視野に入れた復興事業に248億円の総額550億円と確定しました。平時の公共工事がおおむね17億円ですので、いかに大きな復旧・復興の工事が行われるかお分かりいただけるものと思います。 これからの3年間、私も想像がつかない様な工事が、中町・新町で展開されますが、道路の掘り返しにより足元が不安定になることに加えて、工事車両などで渋滞も予想されますので、転倒や交通事故の防止に格別のご注意をお願いいたします。 さて、被災から半年の間、衆・参両院の国会議員をはじめ、ほかの自治体などからも多くの方が視察に来られました。その中の阪神・淡路大震災を経験された方々から「当時は復旧に気を取られて考えつかなかったが、つらくとも被災の状況を後世に伝える震災モニュメントを残すべきであった」と、被災時の記憶が月日と共に薄れていってしまったことを今になって悔やんでいるとの話がありました。 この話を受けて、災害対策本部会議で、復旧に差し障りがなく、かつ植栽などで周囲を囲えるもので、これからのこどもたちに今回の被災を直接伝えられ、防災教育として使えるものとして、高洲中央公園内の耐震性貯水槽の一部をモニュメントに指定しました。 この貯水槽は、地震後にメーカーなどが実地調査と検証をした結果、100立方メートルの貯水槽を支える基礎部分についてはボーリング調査により、破損やゆがみはなかったものの、地震の衝撃によって基礎のコンクリートと貯水槽をつなぎ止めるアンカーボルトやベルト部分が破損し、液状化と共に浮き上がってしまったものとの報告がありました。 一部に誤解があるようですが、貯水槽全体を残すのではなく、駐車場の最奥部のマンホール部分と空気弁のみで、周囲を低木や高木で覆いながら、道路から直接目に触れないよう心配りをしていきたいと思っています。 資産価値について言われる方もいますが、今私たちがなすべきことは液状化の解明と共に、今まで以上に災害に強い浦安市にすることであると思っています。 被災地を取材している新聞記者たちによると、今回の被災地で資産価値に言及するのは、浦安市民だけだと指摘を受けました。いまだ回復のめどが立たないにもかかわらず、何とかふるさとに帰ろうとしている被災者からは何とも奇異に思えるのだそうです。 復旧・復興の見通しがつき、被災から2年近くがたち、早くも被災の風化が進んでいるのが現実です。後になって後悔をしないため、今は不快に思えても将来を見据えた震災モニュメントは必要だと私は考えています。
浦安市長 松崎秀樹 |