真逆の村と、〝浦安米〟 勤労感謝の日の11月23日、創立50周年記念式典が行われた、浦安市と真逆の村〝秋田県大潟村〟に行ってきました。 大潟村とは、5年前からこどもたちや高齢者の相互交流を通じて都市と農村の親交を深めてきています。 大潟村は、琵琶湖に次いで日本で2番目に大きかった湖の八郎潟を干拓して50年前にできた村で、海を埋め立てて発展してきた浦安市とは、あらゆる面で〝真逆〟の村で、接する度に新鮮な感動があります。 浦安市は約17平方キロメートルに16万3000人が住んでいますが、大潟村は10倍の約170平方キロメートルに、約3300人しかおらず、何と50分の1です。 いわゆる人口密度は、浦安市が1平方キロメートルに約1万人住んでいるのに対して、大潟村は約19人です。 また、浦安市は全国の市町村で唯一、生産農地のないまちですが、大潟村は大型営農を目指して国策で干拓し、村を縦断する主要幹線道路もまっすぐな一本道で約17キロメートルあります。その周りは全て農地で、浦安では考えられない景色が広がっています。 私たちの浦安市は、56年前の「黒い水事件」に始まり、漁業権の全面放棄、埋め立て、人口急増と全国に類のない発展を遂げてきましたが、苦労しながらも国策の元で半世紀を経た大潟村を見て、いろいろ考えさせられました。 マンションなどの集合住宅はなく、ほとんどが3〜4世帯同居の大家族で、敷地も概ね200坪で、建坪も平屋で100坪程と聞いて、生活環境の違いにも驚かされました。 式典の冒頭に、村の全小・中学生による合唱があり、元気な歌声に魅了されましたが、小学校は1校だけで全児童数が191人と聞き、思い浮かべたのが来年3月末で入船南小学校と統合する入船北小学校です。 現在の入船北小学校の全児童数は156人ですが、全村民が家族のように暮らす大潟村と浦安市とでは、6年間クラス替えができない点では同じでも、都市部では教育学上よろしくないと言われているため、統合のやむなきに至りましたが、環境の違いが教育面でも大きく影響していることに改めて考えさせられました。 農地を数えるとき、今でも1反(10アール・約300坪)を基準にしていますが、大潟村では当初から大型営農を目指して干拓したため、1反の10倍の1町歩(1ヘクタール・約3000坪)を超す1.25町歩(1.25ヘクタール・約3750坪)が最小単位と聞いて、スケールの違いが分かります。 大潟村の高橋村長から、真逆のまち浦安市民のために1.25町歩を使って、JAS認証の完全無農薬で栽培した〝あきたこまち〟の有機米のブランド名を〝浦安米〟として提供したいとの申し出がありました。 JAS認証は、単なる無農薬だけではなく一定の農場で3年以上、農薬や化学肥料を全く使わずに栽培したもので、さらに、生産から最終包装に至るまで、有機性が侵されることがないように厳しく第3者認定機関の検査を経たものに認められるものです。 生産農地ゼロの浦安市に新しいページが加わろうとしています。 今後、浦安観光コンベンション協会を中心に実現に結び付けていきたいと思っています。
浦安市長 松崎秀樹 |