不妊治療補助事業をめぐって 2月23日の月曜日、午後2時30分から約1時間、順天堂大学医学部附属浦安病院の吉田院長・菊地産婦人科先任准教授同席の元で、共同記者会見を行いました。 これは、平成27年度予算の新規事業として、市議会に計上した“不妊治療研究に関する補助事業”が、大学病院と行政との共同で行う全国で初めての事業ということで、2月5日のNHKニュースで大きく取り上げられたことに端を発し、多くのマスコミから取材が殺到し、共同記者会見になったものです。 記者会見当日は、NHKと民放のテレビカメラ8台のほか、駆けつけた50人を超える多くの報道陣が出席し、会見が終わっても個別の取材が続くなど、関心の高さを伺わせました。 この事業は、若年女性が癌に罹患し、化学療法が始まると数回で卵子・卵巣が死滅してしまうため、治療前に卵子・卵巣を採取し冷凍保存して、治療後体内に戻すという先進技術を利用し、晩婚化が進むなかで20歳から34歳までの方の卵子を冷凍保存しておき、妊娠できる状況になった時、体内に戻すというものです。 私は、昨年来、若い女性たちと、少子化対策や子育て支援をテーマに会合を重ねてきました。 その中で、10人中必ず1〜2人が不妊治療を行っている、あるいは真剣に検討していることを知りました。 さらに、2人目や3人目が産まれず不妊治療を行う“第2子不妊”や“第3子不妊”という言葉とともに、体外受精児が、2002年は74人に1人だったのが、2012年には27人に1人と、小学校の1クラスに1人はいる実情であることも知りました。 さらに、体外受精の採卵年齢が平均39歳で、成功率がわずか10パーセントと低く、採卵年齢が5歳下がるだけで20パーセントと確率が上がることも知りましたが、保険適用外で最低でも100万円以上かかるため、経済的に比較的余裕がない20歳代の女性が最も大事な時期を逃してしまったとも聞きました。 不妊というと女性の問題と思いがちですが、不妊の原因は男女半々です。浦安市では平成26年度から男性不妊の検査費を助成していますが、27年度は治療費の助成も行おうと思っています。 2月5日午後11時30分からのNHK「NEWS WEB」では10分以上取り上げていましたが、画面の下に出るツイッターでは賛否が分かれていました。 私が興味深く思ったのは、批判的なコメントの多くが男性と思われたことです。 ツイッターを読みながら、不妊治療の実態を知らなかった以前の私を見ているようでした。 今回の補助事業が「“高齢出産”を助長するのでは」というコメントや質問が寄せられましたが、私たちの意図は全く逆で、元より若い世代が安心して出産・子育てができる社会にすることが理想であり、行政に関わる私たちにはその使命があると認識しています。 しかし、それと同時に「現実から目を背けてはならない」とも思っています。 とりわけ不妊治療に、体力的にも経済的にも辛い思いをしている多くの女性たちの少しでも力になるべきと、順天堂大学との連携に踏み切ったものです。 この事業は、数多くの少子化対策の中の一つだと思っています。 出産適齢期の若い世代が自然妊娠で出産できる社会になるまでの“緊急避難的措置”と考えています。
浦安市長 松崎秀樹 |