自閉症スペクトラム 誰でも知っているレオナルド・ダ・ヴィンチ、トーマス・エジソン、アルベルト・アインシュタイン、現代では、Apple社の創始者スティーヴ・ジョブズ、Microsoft社の創始者のビル・ゲイツや、名作映画を多く作っているスティーブン・スピルバーグ監督など、この人たちは歴史上間違いなく偉大なその足跡を残した人たちです。 これらの人たちは、2013年までは〝アスペルガー症候群〟と呼ばれ、現在では診断名・診断基準の変更により〝自閉症スペクトラム(ASD)〟と呼ばれている人たちです。 昨年の11月27日、浦安市が主催した「発達支援セミナー」に講師としてお呼びした臨床発達心理士の服巻智子先生が、『人類に〝自閉症スペクトラム〟の彼らがいなかったら、私たちはいまだ竪穴住居で暮らしていたであろう』と語り、前述の歴史上と現在の偉人の名前を挙げられました。 ASDの人たちは、知的障がいを伴う自閉症から、伴わないアスペルガー症候群まで、広い分野の発達障がいを指し、しがらみを気にしない傾向がある反面、こだわりが強く、対人関係において相手との意思疎通が苦手で、集団の中で生きづらい人たちと言われています。 文字通り「人間関係の障がい」と言えます。 歴史上偉大な功績を残した前述の人たちも、幼少期は、学業成績が極端に悪かったり、友人がなく常に孤独感に苦しんでいたり、変わり者のレッテルを貼られたりと、苦しい道のりを必ずと言ってよいほどたどっています。 反面、全員が彼らを温かく守り抜いた人が、親であったり、師であったりとそば近くに必ずいたことも良く知られています。 いま、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授の下で、「異才発掘プロジェクト」が始まり、NHKのEテレでも紹介されました。 1月18日、文化会館で障がい事業課による講演会が開かれ、講演後、中邑先生と、異才として600人の候補者から選抜された一人で、Eテレにも登場した美浜中学校2年生の野中宏太郎君とお母さん、細田教育長も交えて、懇談する機会に恵まれました。 1時間半、ASDが野中君にとって障がいではなく個性だとテレビで語っていたことをこの目で確認した思いでした。 中邑先生や家族に恵まれた野中君の幸運と前途を心から祝福しましたが、改めて運だけで片付けてはならず、歴史を動かす可能性を秘めたASDの子どもたちの未来を確実に明るいものにしていかなければと心に期しています。 今、発達障がいを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。 大阪大学大学院・大阪大学と金沢大学、浜松医科大学、千葉大学、福井大学の5大学が、”連合小児発達学研究科”をつくり、連携して発達障がいの研究を進めていて、”早期診断・超早期療育”を提唱しています。 他人とうまく関われないなどの発達障がいは、幼いときに適切な療育を受けることができれば、かなり軽減できることが分かってきたとのことで、市として新年度の新規事業で、1歳6カ月児健診の際に、希望者に子どもの目の動きを調べるなど、専門の検査を取り入れると共に、臨床(発達)心理士によるコミュニケーション訓練などの超早期療育を市の専門施設で行っていこうと思っています。 すべての子どもたちが、明るい未来を堂々と歩けるために、新たな挑戦をしていきます。 浦安市長 松崎秀樹 |