大地動乱の時代 東日本大震災から早くも4年が経過しました。 3月15日の日曜日、震災以降見送ってきた「防災講演会」を、4年ぶりに開催しました。 講師は、東京大学名誉教授で火山噴火研究の第一人者で、気象庁の火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣先生です。 藤井先生は、過去のデータから、マグニチュード9レベルの超巨大地震発生、必ず火山の大噴火を誘発すると、警告を発し続けている方です。 当日は、防災講演会としては過去最高数の市民が出席し、70枚を超すスライドに見入っていました。 話の中ほど、“大地動乱の時代”という言葉に、現在私たちが置かれている状況が端的に表されていると強く感じました。 東日本大震災もまさに、不安定化した地殻活動の表れのひとつだそうです。 3.11以後、4日後の3月15日にマグニチュード6.4の富士山直下の地震があり、「すわ、大噴火か」と色めき立ったと伺いました。 日本のシンボルでもある富士山は、歴史を振り返ると過去3200年の間に約100回も噴火しています。つまり、約30年に1回噴火している計算になりますが、80%は小規模な噴火だそうです。 しかし、富士山は1707年の“宝永噴火”を最後に300年以上休止しています。過去200年間の世界中の大噴火を見てみると、15火山中11火山は、数百年以上の休止の後に大規模噴火しているとのことで、過去のデータを見てもこれから予想される富士山の噴火は大規模噴火であろうとのことです。 ちなみに、“宝永噴火”では、噴煙の高さは15キロメートルにも達し、ほぼ2週間続いたと記録に残っています。 また、地球の自転が作用する偏西風に乗ったごく微細な噴煙が、銚子の犬吠埼にまで達し、浦安にも火山灰が4センチメートルほど積もったと言われています。 この“ごく微細な火山灰”は、ガラス質の結晶で、今を生きる私たちの日常生活に想像以上の被害をもたらすことが予想されます。 中には「長年、火山灰被害に悩まされている鹿児島の桜島に学べば済むのでは」という人もいるようですが、“宝永噴火”では桜島噴火の100〜200年分の火山灰が、わずか2週間で降り積もったとのことです。 さらに富士山は噴火のデパートとも言われ、膨大な量の隕石や火山灰などを噴出する“プリニー式噴火”や、溶岩噴出、また溶岩流や、火砕流、土石流に加えて山体崩壊まで全ての現象が現れているようです。 噴火予知は、中長期の予測はいまだ確立されていないものの、短期予測は十分な観測を行っていれば可能と言われていますが、過去の例では数10分から数日前までと安定していません。 “大地動乱の時代”の現代は、9世紀の日本とよく似ているとの話にも驚かされました。 863年の中越地震と2004年の中越地震・2007年の中越沖地震が、富士山の“貞観噴火”を誘発したとさせる869年の貞観地震と2011年の東日本大震災が、さらに887年の南海・東南海地震と現在想定されている南海トラフなどの3連動地震が相似しているというのです。 今後、予知研究が少しでも進むことを願うとともに、現状での私たちは火山防災という新たな試練に挑んでいかなければならないと考えています。
浦安市長 松崎秀樹 |