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「オムソーリ」(悲しみの分かち合い)

8月下旬、公募の市民7名と職員4名と私で、オランダ・スウェーデンを視察してきました。

2度目となるスウェーデン視察の今回のテーマは、高い経済成長率を維持しながら高福祉で世界をリードしているその理由を、教育と福祉の現場を視察しながら探ることでした。

スウェーデンの有名な高福祉には高負担が伴いますが、高い負担は国民の合意なくしてはなり得ませんし、その支持はどこから来るのか、私にとっては大きな疑問でした。

国のあり方や制度は、その国の文化や風土を抜きには語れません。

その証拠に、スウェーデンの国土はユーラシア岩盤の上にあり地震とは無縁で、さらに台風などの自然災害とは縁がなく、危機管理の防災関連予算がゼロに近く、その分を教育や福祉に回せるということです。

さらに、1814年のノルウェーとの戦い以来、現在まで、軍隊はありますが戦争をしたことがなく、ヨーロッパ中を戦渦に巻き込んだ第一次大戦、第二次大戦とも中立を保ち、200年近くも平和な国を維持し得たことが、現在のスウェーデンの基礎であると確信しました。

私がショックを受けたのは、スウェーデン国民の「貯蓄率」の低さです。

先進国の中で最も低いとのことですが、福祉が充実していて、日本のように老後に備えて貯蓄する必要がなく、資金が循環していることを意味しています。

これは、それだけ国と政治が信頼されていることであり、加えて、福祉の充実が、経済面にもよい影響を与える証明でもあります。

さらに、日本ではタブーの増税の是非が当たり前のように議論され、選挙でも与野党とも避けて通らないとのことです。

日本国民は、税金と聞いて真っ先に浮かぶのは、「取られる」という思いではないでしょうか。

税金を「租税」と言いますが、「租」も「税」も、ノ木偏からわかるように穀物いわゆる農作物を表し、「租」の旁(つくり)の「且(そ)」は共同して耕作することを意味し、「税」の旁の「兌(だ)」は豊作を喜(兌)び分け与えるの意味です。

2つの漢字はいずれも「貢ぐ」の意味が込められていて、納税者から見た概念ですが、スウェーデンには昔から「オムソーリ(Omsorg)」という言葉が、租税に対する基本的な概念として定着しているそうです。

「オムソーリ」は、「悲しみの分かち合い」と訳され、税の使い方を端的に表しています。

「高負担について不満はないか」と何人かに質問しましたが、返ってくる答えは決まって「生まれてから死ぬまでの一生を通してみれば、すべて自分に返ってくるから特に不満はない」とのことでした。

新しい総理の下で総選挙が近いと言われていますが、将来を見据えた国のあり方の議論が深まるチャンスとしたいものです。

 

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやすNo.869 2008年10月1日号に掲載)

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