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国のかたち

今年の夏は、猛暑に加え、衆議院選挙でとりわけ暑い夏になりそうです。

願わくば政権のためだけではなく、「国のかたち」を国民に問う成熟した選挙であってほしいと心から思っています。

知事たちもさまざまな声を上げていますが、市町村長たちも国のあり方について、議論や意見交換が活発になってきています。

私は10年以上、永田町で国会議員の秘書として、国政をかなり身近に見てきましたが、平成3年に県議会議員に立候補したのは、「このままでは国が溶けていく。地域から国を支えたい。」という思いからで、この思いは今に至るまで、まったく変わっていません。

「国が溶けつつある」ことを実感することほど、国民の一人として悲しいことはありません。

私は、2度にわたってスウェーデンを視察し、その後も制度や文化を学ぶなかで、さまざまなことに驚嘆するとともに、現在の日本の誤りと進むべき方向性を見いだすことができ、大きな希望を持つに至りました。

これから何回かに分けて、述べていきたいと思っていますが、高福祉で、高負担、さらに経済も順調な国づくりを、千葉県と茨城県を足したわずか人口900万人ほどのスウェーデンにできて、なぜ、勤勉な日本人にできないのか。できない訳がないというのが私の結論です。

高福祉のために世界一といわれる高い負担率もすべて国民の選択の結果です。

日本ではタブーとされる選挙における「増税論議」もあの国では当たり前のようで、2002年の国政選挙で「増税」を謳った政党が議席を伸ばし、「減税」を訴えた政党が大きく議席を減らしたとのことで、さらに、常に80%以上という高い投票率も、政治と政策論争が身近にあるのだと感じました。

2回の視察で、出会った方々に問いかけたのが、「高負担に不満はないのか」でしたが、返ってくるのは、「人生のトータルでは、すべて還元されるから、特段に不満はない」とのことでした。

さらに「負担率は、常に選挙で論議されているから、自分たちでチェックしている」とのことと併せて、老後の心配をする必要がないためスウェーデンの貯蓄率は先進国で最低と聞き、いかに政治と政府が国民に信頼されているか、思い知らされました。

今、地方分権も論議を呼んでいますが、世界で最も地方分権が進んでいるのもスウェーデンだといわれています。

これは、最も身近なところで行政の決定が行われ、地域のニーズに合った行政サービスが効率的に提供されるからにほかなりません。だからこそ高い税金も受け入れられるのだと思われます。

まさに、「市町村こそ福祉国家の主役」です。今回の総選挙で日本も地方分権が大きく進展することを願っています。

 

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやす第889号 2009年8月1日号に掲載)

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