「21世紀の奇跡」の都市を視察して 2月7日から13日まで、姉妹都市締結20周年記念イベントに出席するためのアメリカフロリダ州オーランド市の訪問に併せて、「21世紀の奇跡」といわれる自治体を視察してきました。 オーランド市で私たちと合流する予定であった「友好の翼」の市民訪問団は、111年ぶりといわれた大雪の影響で私たちとは合流できず、残念ながら記念イベントも変則的なものになってしまいました。 私たちは、オーランドに向かう前日の2日間、ジョージア州のサンディ・スプリングス市とジョーンズ・クリーク市を訪問しました。 サンディ・スプリングス市は、2005年12月に住民投票でジョージア州のフルトン郡から30年来の悲願である市としての独立を果たした都市です。 しかも、独立に際して、市の業務を全面的に民間企業に委託をする「全面包括委託」を採用し、成功しているところから「21世紀の奇跡」として、注目されています。 パブリック・プライベート・パートナーシップ(P.P.P.)と呼ばれる新しい行政運営のあり方は、政治制度や行政の仕組みが違うといって、簡単にはねのけるだけでは済まない「公の効率性」について、大いに考えさせられました。 最も疑問に思っていたのが、福祉や教育、さらには危機管理に関してでしたが、これらのことも含めてジョージア州の2市の応対してくれた方々を文字通り質問責めにした結果、実にさまざまなことを学ぶことができました。 福祉や教育に関しては、「郡」がその役割を担っていて、当初は「郡」との契約だった消防や警察は、今では市が自前で直接採用しているとのことです。 何より驚いたのは、人口約10万人の都市にもかかわらず、最初から市の職員は、消防署員・警察官を除くと、たった4人しかいないということです。 市の業務を契約で請け負っているのが、世界的な企業であるCH2M HILL(シー・エイチ・ツー・エム・ヒル)社です。シティ・マネジャーと呼ばれる市長からすべての市のマネジメントを任された専業のスタッフが、契約が順調に履行されているか、指導・監督しています。 シティ・マネジャーを任命する市長は、パートタイマーで、対談中に専業の仕事があるからと、退席されたのには、驚かされましたが、もっと驚いたのは、このような民間企業への「全面包括委託」による行政サービスの、市民満足度が高いということです。 スウェーデンの行政から「公の責任」を学び、今回の視察で「公の効率」を学びましたが、ある意味では究極の行政改革かもしれません。アメリカ内でも新しく作る自治体だからこそなし得たとの評価がされているようですが、公としての使命を果たすためにも、「公のあり方」と「民との関わり方」を考えるうえで、実に多くのことを学ばされた1週間でした。
浦安市長 松崎秀樹 |