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5月17日、市民プラザで開催された「平和の文化と子ども展」のなかで、日本の子どもたちが詠んだはっとさせる川柳がありました。

「こどもの日 あとの全部は 大人の日」

この川柳に、何かを感じた人も多かったようで、何人もの人が、唸っていました。

私も、浦安の子どもが大人になったとき、果たして「いいまちだった」と言ってもらえるだろうかと、常に自問自答していますが、ストレートな表現が今でも心に響いています。

私たちは、ともすると大人中心に考えがちですが、社会のひずみは、常に弱いところに犠牲を強いています。

ミャンマーのサイクロンや、中国四川省の大地震で、たくさんの死傷者が出ていますが、特に中国では授業中で、犠牲者の多くが子どもたちとのニュースに接し、子どもを守る大人の責任について考えさせられます。

浦安市では昨年4月にこども部を設置し、その中に発達支援室をつくり、子どもの発達に関する環境整備に向けて、積極的に支援していこうと踏み出したところです。

人間の赤ちゃんは、生まれてくる母親の産道の狭さから、大事な脳が十分に発達しない状態、いわゆる「生理学的早産」で出産を迎える、生物学的にも特異な存在なのだそうです。

その結果として、「子育て」という一大事業に、夫婦・家族、さらに地域も加わって、子どもが自立するまでの長い時間、周囲からの刺激を与えながら育てることになります。

確かに動物の多くが出産直後から、自らの足で立ち、自分の力で母親のお乳を飲み始めるのに対して、人間の子どもだけが、自立できない長い期間、両親や家族に守られなければなりません。

児童精神科医の杉山登志郎氏は、自立までの子育て期間中、最も大事なのは「自尊感情」だと言い、脳科学者の茂木健一郎氏は、しつけや子育てで大事なのは「叱ることではなく、褒めることである」と断言しています。

人間は褒められたり、自尊心をくすぐらたりすると、「ドーパミン」というホルモンが分泌され、脳は達成感とともに満足感を感じ、直前にしたことを繰り返すようになるそうです。

これらは、高度な電子機器の発明による脳の解明が、科学者の手で急速に行われ、研究の結果わかったことですが、教育者でもあり日々学生を教えている茂木先生は「褒めのアスリート」たれと訴えています。

「タイミングを逃さず、すかさず褒めよ」「本気で褒めよ」とのことですが、しつけや子育ての世界だけでなく、日常生活にも即応用しなければならない様にも思いました。

 

浦安市長 松崎秀樹
(広報うらやすNo.861 2008年6月1日号に掲載)

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