羽田空港問題の新たな火種と、知事への怒りの顛末 10月12日の夜、前原国土交通大臣が、韓国の仁川(インチョン)空港にアジアのハブ空港が取られているとして、まさに寝耳に水の「羽田空港のハブ化構想」がぶち上げられ、「今までの成田空港は国際線、羽田空港は国内線のいわゆる『内際分離』を見直す。」との記者会見が行われました。 これは成田空港の歴史的な経過から見て千葉県にとり、また、1年後の羽田空港のD滑走路の供用開始を前に、浦安市にとって未解決の深夜早朝の時間帯の騒音問題を考えても、本市に関わる大きな問題と、唖然(あぜん)としました。 案の定、森田健作千葉県知事は、翌13日、記者会見を行い、「激怒し、昨夜は眠れなかった。」と、怒りを露わにしたものの、つぎの日に前原大臣に面談した際、終始にこやかで、テレビを見た誰もが「あれ?」と思われたようです。 知事が大臣に抗議に行かれるとの情報を得た私は、すぐに国交省に向かう知事に電話を入れました。 羽田空港問題で、最も騒音の被害を受けるのは、私たちの浦安市であること、さらに、そもそも成田空港が、こじれたのは、最初から上意下達で、当事者である地元の声を事前に聞くことなく進めた手法に原因があり、歴代の大臣は、空港問題に変化があるときは必ず事前に相談するとした信義にもとるものであることについて、大臣に強く抗議してほしいと話をしました。 詳細は未だに知らされていませんが、大臣室から出てきた知事が、記者に「誤解は解けた。両空港で共存共栄を図る。国益を考えて、互いに譲るものは譲り合う。」と、答えるのを聞き愕然(がくぜん)としました。 私はてっきり、千葉県民620万人のリーダーとして、D滑走路の運用で生じる騒音を、首都圏で共有するべきと、今まで主張してきた千葉県の主張を基に、突然の方向転換に対して、抗議とともに白紙撤回を強く申し入れるものと思っていました。 私はこの時、知事は事の重大性が分かっていないのではとの疑問を持ち、直ちに、事の真意を正すために面談を再三申し入れましたが、忙しさを理由に、面談が実現したのが、何と7日後の20日でした。 私は、千葉県にとっても、降って湧いた羽田空港のハブ化問題が、現在の最優先課題だと思っています。 この事を、知事との面談の際、強く抗議するとともに、県民・市民の生活と健康を守るため、知事の使命と役割を強く自覚してほしいと申し入れました。 さらに、大臣に対して「譲るものは譲って」と発言したことに対しても、現状では成田空港で使用できない深夜早朝便を、羽田空港に譲ると勝手に了承したことで、未解決である深夜早朝便の騒音問題に、国際便の大型機の騒音という新たな火種が発生したことなどを指摘し、軽々な発言は十分慎んでもらいたいと申し入れました。 しかし、知事の軽々な発言は止まるどころか、市民からも不見識と言われた翌日の「ハブに対するマングース」発言、さらに、翌々日の千葉県市長会の定例会での侮辱ともとれる「選挙があるから分かる」との発言に至っては、何をか言わんやで、私が怒っているのが、まるでパフォーマンスのように茶化されたのには、さすがに6年越しでこの問題に取り組んできた本市の実情を知っている県内の多くの市長たちからも非難の声が挙がりました。 以上が、前原発言から、森田発言に至るテレビや新聞で報道された事の顛末(てんまつ)ですが、いずれにしても国益については、十分留意しながらも、浦安市民の生活と健康を守るために、戦う決意を新たにしたところです。
浦安市長 松崎秀樹 |